2009年08月29日

離島伝説~とったどーの旅~

ローバー隊の大谷君から、ベンチャー隊の
夏キャンプのコメントが届きました。
なかなか素晴らしい、キャンプの情景が目に
浮かぶような大作です。
原文のまま、ノーカットで掲載します。
皆さんもローバー隊の夏キャンプを追体験
してみて下さいませ。by 原


ローバースカウト 大谷 彰 

 ややこしいタイトルである。これは、今年のベンチャー隊の夏キャンプの計画書のタイトルで、森ベンチャースカウトが考えたものである。おそらくどこかのテレビ番組をもじったものなのであろう。
 さて、今年は藤田ベンチャー隊長、森ベンチャースカウト、そして私の三人で、太平洋に浮かぶ式根島に行き、そこで4泊5日のキャンプを実行した。練馬9団全体で見ても、海沿いでキャンプをするのは久しぶりのことである。荷物はあまり持っていくことができないので、米と調味料と少しの食糧以外は全て現地で調達し、自給自足生活をしようという、実にワイルドなキャンプである。
 式根島は伊豆七島のひとつ、新島に属する小さい島で、島の北から南まで行くのに自転車で10分程度しかかからない。隣の新島と比べると、野球のバットと、ボールぐらいの大きさの違いがある。海水浴場と港を除いて、海の周りは全て切り立った崖で、島の西部には森と、石ころが転がっているだけの土地が広がっている。携帯電話はつながったが、PHSは島のどこに行っても圏外だった。テレビは練馬と同じものが映るが、こんな離島でラウンドワンの宣伝をされたところで行ける訳も無い。


 初日、夜の11時に竹芝桟橋発の、東海汽船さるびあ丸に乗り、私達は式根島へ向かった。二等椅子席のリクライニングは中途半端な角度で止まって、逆に眠りにくかった。
初日はそれだけである。


 次の朝、船は大島、利島、新島を経由し無事に式根島の泊港に到着した。船を降りると民宿の車がたくさん止まっていて人でにぎわっていたが、10分後には埠頭でカップラーメンをすする私達だけが残っていた。
 私達がキャンプをする場所は島の北側にある、大浦海水浴場の横のキャンプ場である。そこまで港からあまり距離は無いのだが、アップダウンの多い道だったので、思ったよりも時間がかかった。
 テントの設営をさっさと終わらせて、まず島内を回るために自転車を借りに行った。
自転車で、島にひとつしかない信号を通り、島の南へ向かった。島の南には温泉が3箇所と風呂屋が1件あったが、中でも地鉈温泉という温泉が一番変わっていた。そこは海沿いの崖の裂け目に湧いてきた温泉のようで、満潮時には海に沈んでしまうそうだ。入ろうと思い、崖を下っていったが、茶色く濁った温泉がたまっているだけで、脱衣所のようなものはなかった。そして、温泉の周りの岩には無数のフナムシがいた。人が近づいてそれらがかさかさと逃げる様は「風の谷のナウシカ」に出てくる蟲の大群にも見えた。もっとも、この場合は「崖の下のフナムシ」になるのだろう。
結局、この温泉は入る温泉と言うよりも、見る温泉と言う感じであった。
他にも、湯加減の穴という変わった穴があり、手を突っ込むと温かかった。
午前中に島内を自転車で回り終わったので、昼からは海に潜った。周りに防波堤の役割をしている岩山があるので、波は低く安全そうであった。海の透明度は高く、10メートル以上先まで見ることができ、波でゆらゆらとなびく海草や、黄色や青色の様々な種類の熱帯魚が泳いでいる様子が見られた。太陽の光が海に差し込み、きらきらと光る様が大変に美しい。私は画用紙を持って来ていたが、海中ではスケッチができないのが残念である。
また本州沿岸の海にはたいていくらげが漂っていて、刺されると赤く腫れたりするものなのだが、この海水浴場にくらげは全くいなかった。
普通の旅行ならこれで十分なのだが、私たちの場合楽しんでばかりもいられない。貝か何かを獲ってこなければ、その日の晩は、具がニンジンとジャガイモだけの悲しいカレーライスである。
ところがトコブシなどの貝は獲ってはいけないようで、私はそれ以外の貝を探したが、結局何も獲れないうちに夕方になってしまった。
 その日の晩
 「あっ、具がニンジンとジャガイモだけのカレーでも結構いけますね」
 とはいったものの、それは単に海で泳いだことで、腹が減っていたからだろう。
 その晩、私達は港へ釣りに出かけた。
埠頭には釣りのためにこの島へ来たような人が集まっており、私達が使っていた竹の釣竿は明らかに見劣りしていた。
 地元の住民は、
 「え、何、釣り? まあ素人でも鯖ぐらいは簡単に釣れるんじゃないかな?」
 と言っていたが、何も釣ることができなかった。勝手に竿と餌のせいにしてその日はキャンプ場へ帰った。
私達の目指していた自給自足生活は早くも暗礁に乗り上げたのである。


キャンプ3日目、その日の午前中は島の西部を回った。まず手始めにカンビキ山に登った。道は、おそらく火山の噴火でできた軽くて鋭い石だらけで、歩き易いとはいえなかった。ガイドブックにあったとおり、360度のパノラマで景色は素晴らしいものだったが、風が強かった。屁をこいてもその音と臭いがばれることは無いだろう(何だそれ)。
次に山を下り、蜘蛛の巣だらけの道を抜けて、唐人ヅシロへ向かった。
そこにもすぐに到着した。眺めは良かったものの、やはり石が転がっているだけであった。結局たいした感動も無く、キャンプ場に帰ってきた。
午後、新たに買ってきたヤスを使って魚を突くことにした。
まあ、その結果は文脈から考えれば分かるだろう。
その日の晩はブリを食べた。これは、島の商店で調達(・・)してきたものである。調達と言うのは、必要なものをととのえること、であり、海で獲ってこなければいけないとはどこにも書かれていない。
そして再び港で釣りをした。
いい加減何か釣れてくれないと、文章に書くことがなくなってしまうのである。
相変わらず全くつれないのでただ座っていたのだが、そのとき他の釣り人が近づいてきて私達にアドバイスをくれた。多分哀れに見えたのだろう。
その人は、
「コマセは出し惜しみしちゃだめだよ。コマセの切れ目が縁の切れ目といってね」
といい、自分のコマセを無造作にスプーンですくいばらばらと海へまいた。すると鯖の大群が近づいてきてコマセを食べ始めた。そこに疑似餌でなくオキアミをつけた竿を投げると、すぐに鯖が2匹釣れた。どうも私達の節約する―この場合はケチな―性格があだとなってしまっていたようだった。
私には、銀座のホストクラブも、式根島の鯖も基本構造は変わらないように見えた。
その調子でどんどん釣ろうと思ったら、仕掛けが壊れてしまい使い物にならなくなってしまった。予備を持って来ていないあたりが私達である。
さらに他の釣り人からトビウオとアカイカを貰った。これは、水面ギリギリを泳いでいるそれらを網ですくってしまうと言う、これ以上ないほど単純な漁法で獲られたものである。
キャンプ場に帰ってから、魚は三枚卸にしてから塩を振り、一夜干しにし、イカはいかそうめんにして食べた。なんとか自給自足生活にも明るい兆しが見え始めた、かもしれない。


キャンプ4日目。この日は私と森スカウトがスキューバダイビングの講習を受けることになっていた。私もこれは初めての体験であったが、口で呼吸するあたりシュノーケリングとそんなに変わりなかったように感じた。背負っているボンベはやたらと重く、水中で直立しようとすると、後ろに倒れて、ひっくり返ったカメのようになってしまう。また、海底をはうように進んでいくのがシュノーケリングとの大きな違いであると感じた。インストラクターは水中で、アメフラシなどを持って来て、紫色の液体を吐く様など見せてくれた。
とても面白い体験であったが、シュノーケリングとスキューバダイビングのどちらが好きかと言うのは人それぞれだろう。
昼はうだうだしているうちに終わってしまったので、夜になってからまた釣りに出かけた。
昨日言われたとおりにやってみると、次から次へと鯖が釣れた。すぐに持ってきた包丁で三枚卸にした。10匹以上釣ったところでキャンプ場に戻り、それらを干しておいたが、とんでもないオチがついているのである。


キャンプ最終日。その日は朝日ではなく雨音で目が覚めた。あわてて鯖を見に行ったが、既に時遅し。鯖は干されるどころかしっかりと濡れていた。
結局、濡れた鯖はほとんど捨てることになった。ああ、では何のために昨日あんなに釣ったのだろうか。
しかもいやみったらしいことに鯖を捨てた後に天気が急に良くなってきた。
キャンプを撤収しているときも、あの鯖は夜のうちに刺身かなんかにして食べてしまったほうがよかったなあ、という考えがうかんできたが、後の祭りである。


帰りの船の中で、果たして今回のキャンプでは自給自足生活ができていたのか、と考えた。まあ鯖は釣れたのだから(その鯖もほとんど捨てることになってしまったが)自給自足の「自」ぐらいは行ってそうだったが、目指していたものには程遠かった。
やはり完全な自給自足生活はすごく難しいものだ、と勝手にまとめて文章を終わらせてしまう。
posted by BS練馬9webチーム at 11:13| Comment(1) | TrackBack(0) | ローバー隊